〜前回までのあらすじ〜
一部で酷評されてしまっている映画『アントニオ猪木をさがして』
しかし、よかった所もきっとあるはず!!
今回も検証していきます。
【3大パート分析】
其の弍、猪木と共に人生を歩んできたファンの人生にスポットを当てるドラマパート(演:安田顕、徳井優、他)
映画『アントニオ猪木をさがして』を観る人の多くは恐らく猪木信者であり猪木通です。
相手の力を最大限に引き出してそれ以上の力で勝つ!!(風車の理論)
映画『アントニオ猪木をさがして』はきっとそんな映画でなければなりません。
風車の理論
アントニオ猪木が提唱。
相手の技を下手によけたりせずに風を受け流す風車のように
逆らわず自分自身を無にしてダメージをなくすと言う理論。
転じて現在は
風が、強いほど回る風車の如く相手の力を限界以上引き出してそれ以上で勝ち、
自分だけでなく相手も輝かせるとの意味も派生していると言われる。
本ブログは後者の意味で使っている。
写真は人間風車と呼ばれたビル・ロビンソン。
もちろんスピッツの名曲『ロビンソン』は
彼の事を歌った曲では断じてない。(当たり前だ)
🎵ルララ宇宙の風に乗る
ロビンソン
作詞/作曲 草野正宗(1995年4月5日リリース)
猪木さんが亡くなってしまった今、猪木さんの蔵出し映像がなければ作るしかない!!
ぼくは恐らくこのような気概で作られたであろうこのドラマパートは
大いに評価されるべきだと思います。
挑戦こそ、まさに猪木イズムだからです。
酷評されている架空の猪木ファンにスポットを当てたと言う点も決して悪くないと思いますし
安田顕さんの泣きの演技も非常に良かったのではないかと思います。
映画でもドラマでも自分と同じ境遇であればあるほど自分を投影できのめり込みます。
猪木ファンが主人公のドラマはきっと猪木さんのファンにも刺さるのではないかと思うからです。
現に今、ぼくは
主人公がおじさんであればあるほどのめり込みます。
↑
画像は映画『龍三と七人の子分たち』のキャッチフレーズ
そうであれば何故、映画『アントニオ猪木をさがして』は
多くの猪木信者にあまり刺さらなかったのでしょうか。
それはこの映画が
新日本プロレス50周年記念で制作されてしまった事
が一因ではないかと思うわけです。
下記は映画『アントニオ猪木をさがして』の入場者特典として配布された
新日本プロレス旗揚げのポスター風の3種のステッカーです。
左から 10月6日〜12日配布分、 10月13日〜19日配布分、 10月20日〜26日配布分
10月13日以降は
アントニオ猪木は何処をさがしても見つかりません。
『アントニオ猪木をさがして』を観にくる人の多くはきっと映画館でもう一度アントニオ猪木を
思う存分体感したい人です。
しかし、観せる側は新日本プロレスと言うフィルターを必ず通して猪木さんを観せたがる。
その少しずつのズレが一部のファンから酷評されるに至った
違和感だったのではないかと思います。
ドラマパートは子供時代から猪木さんの試合を観て成長してきた主人公が
おじさんになってからも晩年の猪木さんの試合
(1996年1月4日アントニオ猪木VSビッグバン・ベイダー)に再び勇気をもらうと言う人間ドラマ。
ざっくりまとめるとこんな話です。
何歳からがおじさんなのかと言う定義は非常に難しいところですが
仮にここでは40代と設定してみましょう。
そうすとると1996年から40年遡るとだいたい1956年前後生まれ。
少年時代はおよそ1960〜1970年ぐらいの人が1番適任だと思われます。
〈猪木さんの足跡〉
猪木プロレスデビューで1960年!
馬場とのタッグベルトが加わり1967年!!
そしてNET(現テレビ朝日)のプロレス中継のエースになったのが1969年
三原光尋監督(ドラマパート監督)!!
これが観客の期待を上回る設定年齢だー!!
うぉー!!!
熱心な猪木信者として知られる
桑田佳祐さんも1956年2月26日生まれ。
我ながらファンが感情移入しやすい適正年齢設定だと思います。
だがしかし、だがしかし!!
実際のドラマパートの主人公の少年時代は初代タイガーマスクが登場して
まさに新日本プロレスが黄金期を迎えた1980年代。
新日本プロレス創立50年で
新日本プロレスと言うフィルターを絶対に通さねばならなかった
のでしょうがこの時代設定では1996年の猪木VSベイダー戦は20代で迎える事になってしまいます。
このドラマパートの肝はなんと言っても主人公がおじさんになってからも変わらず
猪木さんの試合にまた励まされるという所。
年もとり、希望もどんどんなくなっていく主人公。
しかし、そこに子供の頃からずっと見てきたスーパーヒーロー猪木が闘う姿。
全盛期はとうに過ぎながら叩きのめされても
何度も何度も立ち上がる燃える闘魂。
20代ではこのカタルシスを感じるには若すぎます。
そこで苦肉の策なのか数年後にビデオ(VHS)が発見されて
それを観ると言う設定になっているのですが
まだ家庭にビデオデッキがあった時代となるとせいぜい2000年代初頭まで。
結局、30歳ぐらいまでしか年齢を伸ばせません。
昔のおじさんは今より老けてると言われますが
学生時代から10年経った姿が安田顕さん(50)
になっている様子に多少違和感を感じます。
死の灰でもかぶったのか!安田顕!!
写真はイメージです。
注意)安田顕さんの泣きの演技は本当に素晴らしかったです。
まぁ、もっと言えばドラマパートの主人公が学生時代(1990年代)に
猪木さんの詩集『馬鹿になれ』(2000年発売)の一節を使って
友人を励ますくだりのほうが違和感MAXなのですが…。
ご存知、猪木詩集。闘魂詩人衝撃のデビューの帯に誘われ
学生気分も次っちゃんと共に2000年当時、TSUTAYAで初版で購入。
(猪木さんより先に『馬鹿になれ』って言っちゃってるじゃん…)
猪木愛が深すぎるゆえに苦しむおじさん。
猪木信者のおじさん2人は動く猪木さんを劇場で観れると言うだけで
見る前から満足でしたので評価はもともと激甘なのですが
もっと猪木さんありきで映画を制作すれば120点、150点
になりえたのではないかと思うわけです。
もっと猪木ファンの猪木ファンによる
猪木ファンの為の映画が見たい!!
次回も掘り下げます。
本日もご愛読いただき誠にありがとうございました!!
さて次回の学生気分のブログ物語は…
アントニオ猪木をさがして⑧
なぜ酷評されちゃうのか?!
ネタバレ徹底検証
【3大パート分析】
其の参、様々な人物が語る証言パート
映画人生 劇場交差点 第35回
お楽しみに!!
次回更新日 2024年1月27日(土) 予定です。
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